引越し
引越し祝いとお使いを抱え
数える程しか使ったことのない電車に乗り込む
普段よりも立て付けの悪い電車に揺られ本をめくる
特急故にだろうか、よく揺れる
とても眠くなる
あまり本数のない路線で寝過ごしては大変だと
己に言い聞かせ眠気をグッと追いやる
家が変わるのだから彼の匂いも変わるのだろうか、
とふと考える
下車駅が思ったより大きくてビビる
新しい木の匂いがする
大河ドラマの旗がずらりと並んでいる
乗り継ぎのバスを間違えた
運転手に尋ねると反対口のバス停らしい
少し泣きたくなって、少し帰りたくなった
電話したら何も聞いてないのに
「洗剤変えたから匂い変わったかも」
なんて言っていて、
考えてること一緒でなんとなくムカついた
非常に眠い
眠いので口の中が甘い、気がする
川沿いに小舟が並んでいる
これが、かの川下りか
降りる停留所を間違えてはいけない
うかうか本を読むことも出来ない
ここに来慣れる日がくるのか
不思議な気分だ