夜中の薔薇
「『手袋をさがす』を読んで欲しい」
と言われ買った本
『手袋をさがす』のことなんてすっかり忘れて
順序よく前から読んでいった
初めのほうは、時代の差や己の学のなさのせいで、
いや、圧倒的後者のせいだな
で、あまり掴みきれなくて焦った
どんな本にも読み頃な時期があると私は思う
旬、と呼んでいいのだろうか?
それぞれの本に一人ひとり、
1番面白く読める時期がある
ちなみに私は川端康成の雪国が
まだ、どうしても読めない
永遠に『夜の底が白くなった。』を睨んでいるのだ
この本を勧めた人は私の母くらいの年齢だ
私は彼女を密かに尊敬している
冗談で「私は〇〇さんの奴隷ですから」と言っている
その彼女は大学生の頃、つまり今の私と同じ頃に
この本を読んで感動したらしい
彼女が掴めたものが
私に掴めなかったらどうしようかと焦ってしまったのだ
でも、次第に文調に慣れてきて
言葉が馴染むようになった
『ことばのお洒落』にチクリと刺された
日本語を使えるようになろうと思った
特別響いた話があった
ふとページ左上の見出しを見ると『手袋をさがす』と
書いてあってニヤリとした
小学5年生から私を知っていて、
もうずっと私の髪を任せている美容師さんがいる
私はその美容師さんとよく話す
髪の手入れに加え、心の手入れをしてもらっているのだ
そんな私のことを知っている美容師さんが
最近、私のことを
「すっかり丸くなっちゃってつまらない
もっとギラギラしてた頃に戻って欲しい」
なんて言ってるらしい、別のお客さんに(!?)
そのことを思い出した
私の人生はどれが適温なんでしょうね、
まだ私にはわかりかねます
『女を斬るな狐を斬れ』という話に
男のやさしさ、女のやさしさ、なんて連ねてあった
平成も終わる今日この頃、
一体、私はどうしたらいいのでしょうかね
性別なんて関係なく
ムラなく一定に日々やさしくありたいものですがね
社会に出て、数年後にまた読み直したら
違うことを感じそうだな
生きるのが少し楽しみだ