不健全

たくさん人の匂いが気になった

他人の何気ない会話が耳障りだった

いつも座る席に他人が座っていて殺意を感じた

ただ人混みを歩いているだけなのに

前を歩いている人の後頭部を傘で殴る想像をした

ひさしぶりに不健全な精神だった

ここ最近は気持ちがめっきり落ち着いた、というか

低い状態で安定してたけど

今日はなかなかだった、水中に突っ込んでた

海でもがいていた頃、

ただ漂っていた頃、

息継ぎができるようになった頃、

足がつくようになった頃、

そんな時期があったことを思い出した

今の私はどうかな

岸に上がっているのかもしれない

もうすこし経てばビーチパラソルでも立てて

寝そべって寛いだりするのかな

もう最近は

私の心には常に海があったことを忘れていたよ

健全すぎてむしろ不健全みたいだ

きっと狂気を抱えているくらいがちょうどいい

そうでしょう？

この間、私がとても嫌いな人間を見た

自由の名のもとで大人の都合を押し付けていた

言葉は便利だ、たしかに便利だ

真意を隠し耳障りのいい言葉で

人を操るのはよくある手法だ

それに騙されることもあろう救われることもあろう

しかし多感な時期で人生の岐路に立つ青少年たちに

使っていい手法ではないと思った、私は、だけど

あれがあなた方の正義だったんだろう

ただ私の正義と違っただけだ

批判することが正しいとは思わない

たとえ正義が違おうと受け入れ合うのが理想だろう

だから、私が悪い

私が悪くていいから言わせてくれ

言葉はああやってつかってはいけない

言葉の鋭さを知らないのか、知っているだろう

いや、知らないでは済まされないのだ

知らないことは罪なのだ

かのソクラテスの教えにあるだろう

到底責任を取れもしないその場限り関係、

全くの赤の他人の人生に、

影響を与えようとするその積極的な態度が

怖くて仕方がないよ、私は

行動がなければなにも生まれない

ただ、私のなにかしらで他人に影響を及ぼし

そしてなんらかを生むのなら

一生黙っていたほうがマシだと私は思う

私は私の言動の罪すら償えずにいるのだから

影響は意図して与えるものではないと思う

他人がそれぞれのタイミングで

勝手に受けるものであって欲しい

よく分からなくなってきた

とにかく、私はなにもしたくないよ